現代アイルランド劇作家研究(6) : マリーナ・カー
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概要
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現在進行形で活躍中の劇作家について論じるのは愚挙である。新しい作品が発表されるや新しい論評が次々に書かれ,新しい伝記資料が追加あるいは発掘され,系統だったまとめはたちまち破綻をきたし,何を書いてもその時点での暫定的なものにならざるを得ないからである。マリーナ・カーは2004年6月ごろ第3子(初の女児)の出産以後,執筆活動を一時中断,目下のところ育児に専念していると知り,この端境期をうまく利用して,テキストの入手できる6作品(うち2作品は本紀要で既発表)について概観し,マリーナ・カー論として紹介しておこうと拙稿を書き上げた。ところが,その矢先に,やはりというべきか,彼女の最新作が発表され,この6月から上演されている。従って,最新作の紹介は次稿に委ねたい。なお,カーの経歴に関しては既発表の記述と重複するのを避けるため割愛するが,父親ヒュー(Hugh Carr)が地元では知られた劇作家・小説家,母親は母語のアイルランド語で未発表ながら詩を書いていたという文学的背景が家庭にあったこと,1987年の大学卒業後渡米し,1年間ブルックリンの小学校(St. Anselm school in Bay Ridge,Brooklyn)で1年生を教えていたこと,日本芸術院に相当するアイルランドの「イースダーナ」(Aosdana)会員であることを付記するにとどめる。
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