子どもが考える将来像から見た現代の教育課題
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
子どもたちが考える将来像から子どもの実相について考察するために、子どもたちが、1)将来どのような大人を目標としているのか(大人像)、2)将来の大学選択に対してどのような動機を持っているのか(大学選択)、3)将来どのような職業を望んでいるのか(職業選択)を明らかにする目的で、小学生を対象に質問紙調査を行った。その結果、大人像および将来の職業選択については、男子は仕事を大事にし、より多くの収入を得る大人像を描いているのに対し、女子は収入よりも家庭を大事にし、周りや自分のことに目を向ける大人像を描いていることが明らかとなり、全体として学年が進むにしたがって自己の適性を意識した回答が上位になることも明らかとなった。将来の大学選択の理由については、女子に比べて男子では経済志向型であるのに対し、女子では周囲との並列的遊び志向型の回答が多い一方で、自らの意思も示す傾向が明らかとなり、全体として学年が進むにしたがって自分の希望を示す傾向が認められた。以上の結果より、子どもたちが大人たちの作った生活環境の中で、大人の姿を模倣し、いわゆる「いい子」として認められようとしていることが示唆された。日本の子どもたちは他国の子どもたちに比べて自己肯定心情が低いと言われており、そのためにあるがままの自分を受け入れられず、安易に大人たちの考えを受け入れていると考えられたが、同時に受け入れた大人たちの考えも肯定できないという矛盾した葛藤が、子どもたちの実相を一層捉えにくくしている可能性が推測された。
- 北翔大学の論文
北翔大学 | 論文
- 生涯学習論 : 創造的人生を求めて
- 高齢障害者の雪道における歩行 : 視覚障害者に対する支援
- 大学と地域で創る生涯学習活動の研究 : 後志地方におけるワークショップによる地域共同活動の試み(4)
- 大学と地域で創る生涯学習活動の研究 : 後志地方におけるワークショップによる地域共同活動の試み(3)
- 大学と地域で創る生涯学習活動の研究 : 後志地方におけるワークショップによる地域共同活動の試み(2)