タチナガハに発生した「石豆」における種皮表面微細凹凸構造に見られた特徴(形態)
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概要
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「石豆」と一般的に呼称される非吸水(または難吸水)性のダイズ種子は,ダイズの食品加工上および栽培上の障害となる.既往の知見においてダイズの石豆は物理的休眠の一種であり,種皮表面の微細構造の違いにより生じると推察されてきた.しかし,従来の研究は定性的な解析にとどまっていたことから,石豆の非吸水性機序の解明や機器測定による選別につながる知見は依然として得られていないのが実情である.本研究では,レーザ走査型三次元微細形状計測顕微鏡を用いて,水への浸漬処理後のダイズ種皮表面の三次元微細構造を直接計測・定量化することにより,石豆と正常粒との種皮微細構造の違いを明らかにした.石豆の発生が確認された平成17年埼玉県産のタチナガハを供試して調査した結果,正常粒では種皮表面積0.35mm^2あたりに存在する直径10μm以上,深さ10μm以上の深い凹み(pore)が平均44.8個であったのに対し,石豆では平均3.2個であった.以上の知見から,石豆の非吸水性機構における種皮微細構造上の特徴は,単位表面積あたりの深いpore数が極端に少なく,水に対する障壁となる柵状細胞組織層にporeが十分陥入していない点にあると推察された.この推察を裏付けるために,種皮表面に深さ20μm程度の微小孔を多数形成する処理を石豆に施して吸水試験を行い,吸水量が正常粒の40%程度まで回復することを確認した.
- 2008-01-05
著者
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