関節可動域測定における傾斜計の同時的妥当性と再現性
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概要
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傾斜計は土木建築分野で用いられる角度計であるが,測定面に傾斜計を乗せるだけで容易にその傾斜角度を測定できるので,ROM測定としての応用が考えられる.本研究の目的は,2種の傾斜計の同時的妥当性および再現性を検討することである.対象者は本学院の男子学生12名(平均19.75±0.75歳)で,本研究の主旨の理解と同意を得た.測定器具には,SAKAI社製東大型角度計(以下,角度計),(株)新潟精機製傾斜計(以下,傾斜計),および傾斜計に鉄製の棒を取り付けた傾斜計(以下,軸付き傾斜計)の3種を用いた.傾斜計は移動肢の体表に密着させ測定し,軸付き傾斜計は鉄製の棒を移動軸に合わせることで可動域を測定した.手順は,まず本学院理学療法学科2年生(以下,PTS)に角度計を使用させ,左右の股屈曲,SLR,膝窩角,足背屈を測定し,同様の手順で軸付き傾斜計,傾斜計の順で行った後,経験年数6年目の理学療法士(以下,RPT)においても同様の測定方法および測定部位で行った.再現性の検討には数日の間隔(平均4.5±4.58日)を置き,再度同様の被検者,手順で測定を行った.統計解析では両傾斜計の同時的妥当性をPearsonの相関係数,再現性をPearsonの相関係数および級内相関係数,各測定方法間の差を分散分析・多重比較にて検討した.傾斜計および軸付き傾斜計の同時的妥当性はPTS,RPTともに強い相関を示し,再現性はPTSで股屈曲を除き良好,RPTではすべての測定部位で強い再現性を示した.また,測定方法間ではRPTの軸付き傾斜計で差を示した(p<0.05).本研究において傾斜計はROM測定の器具としての可能性を示した.また,軸付き傾斜計では測定姿勢や器具の当て方を考慮する必要があると考えられた.傾斜計はホームセンターで購入できる安価な物であり,軽量で片手でも扱いやすいので臨床や地域でも有効であることが示唆された.
- 高知リハビリテーション学院の論文
- 2006-03-31
著者
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重島 晃史
高知リハビリテーション学院理学療法学科
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坂上 昇
高知リハビリテーション学院
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坂上 昇
高知リハビリテーション学院理学療法学科
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坂上 昇
高知医療学院
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坂上 昇
高知県理学療法士会保健部:了徳寺大学健康科学部理学療法学科
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重島 晃史
高知リハビリテーション学院 理学療法学科
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