貨幣残高と貯蓄
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概要
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通常、物価の下落は消費支出を上昇させる。その点に疑問は無いとして、マクロ経済の分析にとってより重要なことは、物価の下落が貯蓄を減少させるということにある。それによって雇用が増大し、完全雇用が達成される保障があるということにある。ピグーはそれを示すために、貯蓄関数の説明変数の一つとして実質貨幣残高を導入し、実質貨幣残高の上昇が貯蓄を減少させると仮定し、完全雇用が達成されると主張した。パティンキンは、貯蓄関数の説明変数として実質残高の代わりに物価を導入し、貯蓄は物価の増加関数になると仮定してピグーと同様の結論を導いた。しかし、貯蓄が物価の増加関数であるとすることは仮定ではなく論証すべき事柄ではないだろうか。本論においては、標準的な消費者行動の理論に基づいて、物価の下落は必ずしも実質貯蓄を減少させるものではなく、むしろ上昇させる可能性が大きいということを証明する。
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