養豚における残飯の飼料価値に関する研究
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概要
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都市近郊の養豚経営にとっては,残飯は有効な飼料資源と言えるが,生残飯の組成は,蛋白質やカロリーが多くあっても,水分にはかなりの変動があり,その栄養価を把握することがむつかしいことから残飯を組み込んだ飼料給与体系は様々であると言われている.本試験では,残飯の飼料価値をより正確に把握し,実際の給与水準の幅を知る為,生残飯の水分含量をおよそ75〜80%程度と設定し,配合飼料の栄養価値に換算してその利用性について検討した.1発育と飼料の利用性については,肥育期間中の1日増体重,飼料要求率は残飯の乾物量20%(残飯5kgで配合飼料1kgと換算)の場合と乾物量25%(残飯4kgで配合飼料1kgと換算)の場合のいずれも残飯を利用した場合,配合飼料を主体とした場合よりも若干上回る成績を示した.2枝肉成績についても総体的に残飯利用区の方が若干上回る成績を示した.又,肉質についての観察評価では,肉色及び脂肪の色について両者に顕著な差は見られなかった.3育成期における残飯の利用では,残飯に含まれる栄養成分(主に,蛋白質,カロリー)が配合飼料の栄養成分をおぎなえるものとの仮定から,育成期に於で,栄養成分の少し低い肥育期用の飼料を給与して比較した.肥育用飼料(DCP 13.0%,TDN 75.0%)に残飯を給与した区と育成用飼料(DCP 14.0%,TDN 77.0%)に残飯を給与した区との間に有意な差がみられなかったことから,育成期に残飯を利用し,栄養成分の若干低い配合飼料を給与することが可能であると考えられた.以上の結果から,本試験で供試された学校給食の飼料価値は乾物量で配合飼料(DCP 13.0%,TDN 75.0%)に換算して20〜25%の範囲にあると設定しても予裕のあるものと考察され,残飯を組み込んだ飼料給与体系の策定に有効な基準となった.
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