野生化ヤギによる攪乱を受けた媒島で見られた23年間(1978-2003年)の植生変化

概要

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小笠原諸島媒島にて、23年間の植生の変化を航空写真を用いて定量的に評価した。1978年、1991年、2003年の航空写真から森林、草地、裸地の面積の変化を調べた。この間、媒島の植生は、野生化ヤギによる食害と踏圧およびヤギ排除によるそれらからの開放を経験した。草地が島全体に占める割合は、23年間で66.3%から69.0%に、裸地が占める割合は7.0%から15.5%に増加した。1978年から1991年にかけて、草地の一部が裸地に変化した。その結果、草地の面積は減少し、裸地の面積は増加した。1991年から2003年にかけて、裸地の一部が草地に変化した。その結果、草地の面積は増加し、裸地の面積は減少した。以上の結果は、草地と裸地の変化は、ヤギによる食害、踏圧とそれらからの開放によって引き起こされたことを示唆する。一方で、森林が占める割合は、16.2%から6.0%に23年間で減少した。これは、森林が、野生化ヤギの有無にかかわらず、草地や裸地に変化したことを意味する。以上は、森林の減少は、ヤギの食害による実生の定着の欠如に加え、種子供給源である林冠木の枯死によることを示唆する。