3T3-L1脂肪細胞におけるcortical actin networkのGLUT4トランスロケーションに対する機能解析
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概要
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生体における正常な血糖維持機構の1つとして,脂肪細胞や骨格筋でのインスリン刺激に対するグルコースの取り込みが重要である。この過程で重要な役割を担っているのが,インスリン依存性糖輸送担体GLUT4の細胞内から細胞膜へのトランスロケーションである。一方,脂肪細胞は細胞膜直下にcortical actinと呼ばれるactinの層状構造を有している。この構造は,3T3-L1細胞が成熟脂肪細胞へと分化し,強いインスリン感受性を獲得した後に出現する。我々はレトロウイルスベクターによりGLUT4-7myc-eGFPを発現させた3T3-L1脂肪細胞を用い,インスリン刺激によるGLUT4のトランスロケーション過程におけるcortical actinの機能を検討した。GLUT4は10^<-7>Mのインスリン刺激で細胞表面に露出するが,Latrunculin Bでcortical actin構造を破壊したり,Jasplakinolideにてcortical actinの再構築を抑制すると,GLUT4はインスリン刺激により細胞膜まで移動はするものの,細胞表面への露出は抑制された。以上より,脂肪細胞において,細胞膜直下のcortical actin構造はGLUT4を含有する小胞が細胞膜まで移行するのには必須ではないものの,細胞膜へ融合しGLUT4が細胞表面へ露出するのに重要な役割を担っていることが示唆された。
- 神戸大学の論文