Large-Z原子核のまわりの場の量子論(素粒子奨学会奨学生論文)
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概要
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我々は,原子番号Zの大きい原子核のまわりのQEDを考える。我々が注目したのは,強い電場中でおこる電子陽電子real対発生である。我々のとった方法は,非摂動領域の問題の取扱いによく使われる方法である。すなわち,問題に本質的でない高いjの波を無視し,有効2次元fermion理論をつくる。そしてボソン化によって等価なboson理論にうつし,それを古典的に取扱う。boson場の古典的な取扱いはfermionのレベルでは,量子効果をひろうことが知られている。我々は原子核をexternal sourceとして入れ,上の手法によってboson理論を作り古典的な解析をおこなうことによって,normalなQEDの真空があるZで,real対発生をおこすanomalousな真空に相転移することを調べた。従来この問題に対して,Dirac方程式を解析する一体問題のアプローチがとられてきたが,その結果よりも,我々の結果の方がreal対発性がおこりやすい。そしてそれは,最近のドイツでの重イオン衝突実験における結果により近い。
- 素粒子論グループ 素粒子研究編集部の論文
- 1986-12-20