「生体膜の秩序構造形成」の研究について

元データ 1988-07-20

概要

生物は複雑ではあるが,次第に物性研究の対象となりつつある。そして,生物物理という学問の最終的な目標は,物性物理の言葉で生体物質を理解することである。しかしながら,生物物理という学問は大きな矛盾の中にある。生物が,物性物理の論理体系(例えば統計力学,熱力学等)とは全く違う生物の論理(セントラルドグマと呼ばれる生合成の機構等)を持っているからである。このことはLSIのメモリーチップの挙動を知るのに論理的設計図さえ持っていれば半導体物理を全く知らなくても理解できるということと事情が似ている。それを端的に示しているのが最近発展した遺伝子工学である。遺伝子工学は生物の論理を用いて発展してきているわけだが,それは物性物理を全く知らなくても,(と言うよりそれを知らない方が?)おもしろい仕事ができるのである。生物の機能に興味を持って研究を進めていくと,いわゆる物性物理からかけ離れていくという寂しい状況があり,一方物性物理にこだわれば,おもしろい機能とは無縁で生物的に退屈なものになっていくということが往々にして見られる。とまれ,ここでは生体膜という生体物質をいずれは物性物理として理解したいと思う人達が集まり,科学研究費補助金総合(A)「生体膜の秩序構造形成」の研究を行った。以下はその報告書の抜粋である。私達が行った研究がそのまま直接物性研究に繋がっていくかどうかわからないが,学問の発展のために,少しでも興味を持っていただければ幸である。

著者

美宅 成樹 東京農工大・工・生命工
Mitaku Shigeki Dept. Of Appl. Phys. Grad Sch. Of Engi. Nagoya Univ.

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