積雪寒冷地における放牧施設に関する研究 : V.公共育成牧場における牧柵及び飲水施設の実態
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概要
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積雪寒冷地における公共育成牧場の牧柵及び飲水施設の実態や問題点などを把握するためにアンケート調査を行った。牧柵材料では,牧場の92%が鉄製であった。鉄製の主柱は亜鉛めっきが十分に施されており耐久性の問題はほとんどなかった。一方,架線材の91%は有刺鉄線であるが,亜鉛めっきが少ないために錆やすい問題がある。また,架線材には亜鉛最小付着量に応じて各種あることがほとんど知られていなかった。牧柵構造のうち,主柱間隔では4mの場合が牧場の60%もみられ,架線段数では牧場の37%が4段,21%が3段であり,架線間隔では4段架線が約30cm,3段架線が36〜38cm,最上架線高が約120cmの牧場が多かった。また,大半の牧場では主柱の長さが1.8m,根入れ深さが主柱長の3分の1であった。支柱が主柱10本に1本の割で入れられているのが牧場の3分の1に見られたが,支柱は,主柱が倒れやすい牧区コーナー部や軟弱地盤,凹凸地など,地形に応じて入れる必要があると回答した牧場が多かった。牧柵管理上の問題点は,主柱自体よりも架線自体あるいは架線方法に多かった。架線の張り替えは5〜6年が目途であり,断線と発錆が主な理由であった。架線方法では,架線補修の際の高い人件費や労力不足,架線・主柱及び落下装置金具自体に種々の問題が挙げられた。また,牧柵の雪害がある牧場は71%あり,これは積雪深のある牧場ほど多く,主柱の故障や架線の断線として現われていた。雪害対策として架線を外したり,主柱を抜いたり,落下装置金具を利用した場合でも架線を外している牧場が多かった。特に,主柱の故障は傾斜地や凹凸地,崖地などに目立っており,積雪寒冷地の牧柵設計では,雪害ができるだけ生じないように地形・気象条件や地盤状態などに応じた設置方法を検討する必要がある。飲水施設の水源は渓流水を含む河川水を利用する牧場が60%と多く,飲水施設を1牧区に独立して配置している牧場が約半分あったが,2牧区に共用していところが約30%みられた。特に牧区の交点に飲水施設を配置している牧場は27%であり,この場合,家畜の飲水時を利用して省力的な家畜の移牧が可能になると考えられる。
- 1985-10-30
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