1.散逸系カオスの構造(九州大学理学部物理学教室,修士論文アブストラクト(1985年度)その2)
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概要
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近年,非線形動力学の分野において,周期運動や多重周期運動とはまったく異なった新しい運動形態カオス(=非周期運動)が存在すること,その発生にはいくつかのルートがあること,カオス発生直後では発生に至るルートに応じて普遍的な定量的法則が存在すること,などがわかり,多くの研究者の興味をひきつけてきた。しかし,理論で厳密にいえるのはごく限られた範囲であって,発達したカオス状態では普遍的法則の存在さえ疑わしい。カオス発生直後に定量的普遍則が存在するのは,そこでは局所的分岐がおこっており,分岐をおこす局所構造が支配的になるので,同じルートつまり同じ分岐を示すものでは系の詳細によらない普遍性が期待できるというのが理由である。一方,局所的分岐に対して大域的分岐というのがあり,カオス領域では例えばバンド接合やクライシスがそうである。カオス領域における普遍則の存在は自明ではないが,同じタイプの大域的分岐を示すものならば同じような大域的構造をしており,従ってその前後に注目する限り,系の詳細をぬりつぶしてしまう平均量において普遍性がいえるのではないか,その考えのもとに,本研究では一次元Quadratic Mapを用いて、ウィンドウがクライシスによって壊された直後,それと対比の為にウィンドウ直前の間欠的カオス領域,及びバンド接合直後について,特にパワースペクトルの立場からそれぞれの特質を調べた。あわせて,当研究室において現象論的に導かれた法則との対比も行なっている。
- 物性研究刊行会の論文
- 1986-08-20
著者
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