イネ科牧草根の物理的な機能に関する研究 : III.根系発達が作土層の土壌構造に及ぼす影響
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
イネ科牧草根群の物理的な機能のひとつとして,根系の発達が膨軟な作土層の土壌構造をいかに良好な状態にしてゆくかを陸稲と比較しながら3ヵ年にわたって試験した。1.試験培地の理化学性を全層均一に処理したにもかかわらず,牧草根系は地表付近に集中分布してきた。2.地表付近の牧草根群のうち活性根の割合は,毎年40%以上であった。3.土壌硬度および固相率の増加は,牧草区で5cm深,陸稲区で15cm深において顕著であった。その理由として前者は牧草根系の影響を,後者は人為的作用を挙げることができる。4.耐水性の有効団粒は,牧草区・陸稲区ともに増加した。しかしながら,この結果と根系発達との関係は明確でなかった。5.牧草区における有効間隙の増加は5cm深において認められた。また,陸稲区と比較すると全間隙量は少ないが有効間隙は多い結果を得た。6.以上の結果は,根群域の土壌が膨軟な条件においては,イネ科牧草の根系は土壌環境を改善する可能性があることを示唆している。
- 日本草地学会の論文
- 1977-10-31
著者
関連論文
- イネ科牧草根の物理的な機能に関する研究 : IV.固定された間隙モデルにおける根系発達
- イネ科牧草根の物理的な機能に関する研究 : III.根系発達が作土層の土壌構造に及ぼす影響
- 火山灰新墾土壌における牧草生育
- 集約草地造成法が下層土の物理性に及ぼす影響
- 集約草地造成法における表層土の移動