暖地型マメ科・イネ科両草種の混ぜ播栽培に関する研究 : I.デスモディウムとセタリアとの混ぜ播における乾物・窒素収量に対するマメ科効果について
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概要
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Desmodium intortum cv. Greenleaf(以下De)とSetaria sphacelata cv. Kazungula(以下Ks)との混ぜ播栽培の可能性を検討するために,両草種の単播区と混ぜ播区を設け,それぞれKsの草高を基準として70cmおよび50cm刈の2種の処理を組合わせ,生育状況・乾物収量・窒素収量・群落構造についての検討を行ない,以下の結果を得た。(1)両草種ともこの地方ではよく越冬することが認められた。またKsはよく出穂し結実するが,Deは低温のためほとんど開花に至らなかった。(2)乾物収量は両草種の単播区よりも混ぜ播区で著しく増加し,群落が確立した次年度に1000〜1100kg/10aを得た。これはDeの窒素固定能力による「マメ科効果」に負うところが大であると推察される。刈取方法では50cm刈が70cm刈よりも多収,すなわち刈取回数はある程度多いほうが良かった。マメ科効果による乾物収量の増加量は,次年度において86〜130kg/10aであった。(3)混ぜ播区の窒素含有率は,それぞれの単播に較べて,Ksは高く,Deは低く,固定窒素の移行が推定された。混ぜ播区の窒素収量は70cm刈区よりも50cm刈区で著しく増加し,ある程度の多回刈が窒素固定能力発揮に有効であった。マメ科効果による窒素収量の増加量は,初年度の70cm刈区を除けば混ぜ播区がDeの単播区よりも大であった。Deによる年間窒素固定量をKsに対する窒素施肥の相当量に換算すると6〜24kg/10aと推定された。Deの固定窒素が同伴のKsに移行する量は,初年度の初期には少なく,造成初期の混ぜ播の生産を高めるためには窒肥施肥の必要性が認められた。(4)混ぜ播区の群落構造と群落内相対照度の分布は,両草種の単播を組合わせた型を示し,吸光係数は中聞の値をとって,乾物生産上有利であると思われた。上記の結果に暖地型イネ科・マメ科牧草の利点・欠点を考え合わせると,Deのような草種を混ぜ播栽培として用いることは有望と考えられる。
- 日本草地学会の論文
- 1975-10-25
著者
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