暖地型牧草の無機栄養特性 : 第2報 数種暖地型牧草のNa,Ca,Mg,Fe,Mn,Zn含量の生育に伴なう変動とその草種間差違
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概要
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同一環境条件下で圃場栽培したローズグラス(Ro),ダリスグラス(Da),バヒアグラス(Ba),ブルーパニックグラス(BP)およびオーチャードグラス(Or)のNa,Ca,Mg,Fe,Mn,Zn含量の生育に伴なう変動とその草種間差違を検討した。(1)Na含有率はRoでは0.28〜0.44%の範囲内で変動し8月下旬に最高含有率を示す山型の変動様式であった。これに対しRo以外の草種では0.02〜0.03%の範囲内で変動し,生育に伴なう含有率の変動様式および含有率に明瞭な草種間差違は認められなかった。RoのNa含有量は他の草種の10倍以上であり,Roは他の草種に比較して特異的に強いNa吸収能力をもつことが推定された。(2)Ca含有率の生育に伴なう変動様式の草種間差違は明瞭でなかった。また実験期間を通して一定したCa含有率の草種問差違も認められなかった。(3)生育に伴なうMg含有率の変動の様式は草種により異なっていた。RoのMg含有率は生育初期から末期に至るまで0.09%前後に一定しており,いずれの時期においても他の草種より低いMg含有率を示した。各草種の最大Mg含有量はBa>Da>Or>BP>Roの順でRoはBaやDaの1/2以下のMg含有量にすぎなかった。(4)どの草種のFe含有率も一般に伸長期に増加し,含有率の草種間差違も大きくはないがDaのFe含有率は他の草種に比較して低く推移した。(5)Mn含有率の生育に伴なう変動の様武は草種によって異なっていた。BPのMn含有率は実験期間中100〜140ppmの範囲内で変動し,他の草種に比較して特に低かった。生育期前半ではOrのMn含有率は暖地型草種より明らかに高かった。各草種の最大Mn含有量はRo,Da>Ba>Or>>BPの順でBPのMn含有量は著しく低かった。(6)4暖地型草種のZn含有率は9月下旬に至るまで50ppm以下と低く,生育末期に急速に増加したのに対し,OrのZn含有率は伸長期に高く中期に低下した。生育末期を除いてOrのZn含有率は暖地型牧草より高く,暖地型草種間では明瞭な差違は認められなかった。最大Zn含有量はDa>Ro>Ba>Or>BPの順であった。(7)刈取適期の各草種の主要無機成分組成を比較すると,Roで高Na低Mgでその陽イオン当量組成がK>Na>Ca>Mgであったのに対し,他の4草種ではいずれもK>>Mg>Ca>Naであり,これらRo以外の4草種間には陽イオン組成に大きな差違は認められなかった。DaはK組成率が高く,K/(Ca+Mg)の当量比は5草種中最高の2.3〜2.5であった。上述した5草種の無機成分組成で家畜の無機栄養上問題となる点について論議した。
- 日本草地学会の論文
- 1972-12-25
著者
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