集約草地造成法における表層土の移動
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概要
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火山灰山地における集約草地造成に関する研究の一つとして,現行造成法による表層土移動の実態を青森県上北地方の草地造成現場で調査した。その結果は次のとおりである。1.抜根作業での表層土移動は,抜根跡地穴の埋めもどしの際に多くみられる。特に直径70cm級のブナ樹を抜根すると,根径の4〜5倍の範囲で穴があきこれの埋めもどしに周囲7mもの範囲で表層土が使用される。本作業での表層土移動は跡地穴の埋めもどしを指示している以上,必然的なものである。2.排根作業は抜根株を数ケ所に集積してから排根線へ運搬する方式をとった。その際の表層土移動は排根量よりも運搬経路に当る地形の条件が大きく左右する。平均20〜30cmの表層土移動はいたるところで認められ,特に局部的な急傾斜地では100cm以上もの表層土ハク脱がみられた。本地区の原地形平均傾斜度は4°という緩やかなものであったにもかかわらずかような結果が得られたことは,急峻な地形条件での排根作業ではかなりの表層土移動が予測される。3.耕起作業では,先の抜排根作業によってかなり表層土がハク脱された面(特に抜排根の多かった地点では心土面から)からB.B.によって実施された。そのため,本作業後の地表面はほとんどが心土露出である。4.施工前後における土壌肥沃度分析では,改良資材の投入によって施工前の状態より良好に矯正されている。したがって,火灰新墾土壌では心土露出があっても牧草生育は可能であると判断される。
- 日本草地学会の論文
- 1972-10-25
著者
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