混播牧草の競合に関する研究 : 第1報 播種割合がラジノクローバとアカクローバの初期生育に及ぼす影響
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概要
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本実験はラジノクローバ(LC)とアカクローバ(RC,品種:ハミドリ)を供試し,乾物量・葉面積・葉柄長等を調査して混播において起こる草種間の競合の過程・強さ等を明らかにし,さらに競合に関与する形質・要因等を明らかにし,それらに対し播種割合がどのように影響するかを知るために行なった。1968年の4〜7月にかけて木製の播種箱を用い3600個体/m^2の密度でLC100%区(L100),LC75%・RC25%区(L75・R25),LC50%・RC50%区(L50・R50),LC25%・RC75%区(L25・R75),RC100%区(R100)の播種割合区を設けて行なった。その結果は次のとおりである。1.乾物重は単播では9週目まではLC<RCであったが,それ以後はLC≧RCであった。単播の乾物重に対する混播区の草種別乾物重の比率はL75・R25ではLC47〜87%,RCは31〜88%で両種とも単播に比べると生育は旺盛であり,群落中LCの占める比率も40〜66%で両種は均衡を保ち,他の混播区よりも乾物重は多かった。L50・R50では単播区に対する比率はLCが40〜10%,RCは60〜102%となりLCの生育はRCによって抑えられ,LCが群落を構成すを割合も33%から10%へと低下した。L25・R75においてはこの傾向はさらに顕著であった。2.葉面積は単播区では9週目以外はすべてRCの方が大きかった。混播区においては単播区に対する比率,全葉面積中の両種の比率とも乾物重とほとんど同程度の値を示し,乾物重と密接に関係していた。3.葉柄長は単播区では9週目まではRC>LCであったが,それ以後はLCの方がやや長かった。混播区では群落で優勢な草種の葉柄が長く,その差も生育時期の経過とともに大きくなる傾向があった。4.群落の上層10cmに占める両種の葉重比率はL75・R25ではつりあっていたが,RCの乾物重の多かったL50・R50,L25・R75ではRCが85〜100%を占め,受光量に大差のあったことが推定される。5.以上の播種割合の相違による群落の優占関係に関与する要因のひとつに種子重の差をあげることができる。供試したLCとRCの1000粒重はそれぞれ560mgと1550mgでLC:RC≒1:3であり,L75・R25では播種された種子重量がほぼ等しかったため互いに他種を圧迫することなく,むしろ協調的であった。一方,種子重量に大きな差があったL50・R50,L25・R75では出芽直後から大きな差があり,群落がRCにかたよった。6.以上の結果からLCとRCの混播において播種割合は両種の種子重量の差による光合成器官量の調節と,初期生長量を調節する役割を果し,両種間の競合の程度を変える役割を果すことが明らかとなった。
- 日本草地学会の論文
- 1971-04-30
著者
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