減価償却の本質に関する一考察
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概要
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減価償却の本質を理論的に把握することは、減価償却の有する機能・役割を考察する上で欠くことのできないテーマであると考える。減価償却の本質観をめぐる所説は種々見られるが、ここでは、わが国の代表的な所説を数種挙げ、これら所説に関する比較考察を通して、減価償却の本質について理論的に把握することを目的としている。先ず、減価償却を認識する基本は、固定資産の使用による損耗分(価値減価)を金額的に表示することである。しかし、使用による損耗は、原価計算上、製品原価を構成する費用(価値移転)であり、それはやがて製品(商品)の売却を通して資金回収される。つまり、そこには、固定資産に対する投下資金の回収という機能が見られる。ところで、価値移転を伴う減価は、固定資産の使用による損耗だけでなく、直接的な使用ではないが、時の経過による減価は、自然の作用による物理的消耗であるため、価値移転の減価とみなすことも可能であるとする見方がある。次に、例えば、新機能を備えた機械設備の出現によって、現存の機械設備が旧式化・陳腐化することによる価値の滅失を原因とする減価(経済的減価)は、価値移転の減価ではなく、純利益から控除されるべき損失であるとする見解が見られた。しかし、経済的減価も使用に基づかない「時の経過」による減価と同様に,価値移転的減価と見なしてもよいという見解もある。これは、技術の進歩が急速な時代において、経済的減価が避けられない状況であるので、計算技術上の面から価値移転的な減価と認められるとするものである。では、この価値移転の減価をどのように測定すべきであるか。これを理論的に解決するためには、資産の本質を理解する必要がある。資産はサービス・ポテンシャルであるという定義に立てば、固定資産の損耗は、サービス・ポテンシャルの損耗と解される。この損耗分を減価償却費として計上するには、理論的にどのような測定方法が考えられるか。資産の属性には、サービス・ポテンシャルとしての物的属性と貨幣的表現としての価格属性とがあり、物的属性としてのサービス・ポテンシャルの損耗部分について、取得原価を(耐用年数期間内に)期間配分することによって減価償却費を計上する方法が採られた。それが、定額法および定率法などであり、今日で使用されている計算方法である。
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