女子大学生の学業に関わるコミュニケーション能力と自己効力の関係についての実態調査
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概要
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自己効力とは課題や行動に対する自己の遂行能力の予測、効力の信念を意味し,その信念の強度が後の行動に影響を与える重要な心的要素である。筆者は若者のコミュニケーション能力育成には当該能力に対する自己効力の向上を視野に入れた教育が必要であろうと考えるが,コミュニケーション能力と自己効力に関する詳しい研究はほとんどない。そこで,女子大学生の学業に関わるコミュニケーション能力の自己効力に関係する要因について質問紙調査を行った。具体的には,学業で特に必要と考えられる4つの基本的なコミュニケーション能力として,「話す」,「聞く」,「書く」,「プレゼンテーション・自己主張」をとりあげた。自己効力に関わる要因としては,当該能力に対する「経験」,「意欲」,「評価」,「感情」,「態度」を考えた。相関分析の結果,異なるコミュニケーション能力にもかかわらず,各々のコミュニケーションにおいて自己効力が低いと感じている学生(当該の能力が乏しいと認識している学生)にはほぼ共通の特徴があり,その能力についての過去の経験が乏しい,その行為の実現に対する不安感情が強い,他者からの評価が低いと認識している傾向が見られた。今後学業に関わるコミュニケーションに問題を抱えている学生の学習支援に役立てるためには,データ数や質問項目の設定など課題となった点を改善し,本研究の知見の因果関係を調査していく必要がある。
著者
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