観察者の存在により発生する一過性の心理ストレスが運動パフォーマンスに与える影響 : 眼と手の協応動作を用いて(平成18年度大学院スポーツ科学研究科修士論文要旨)
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概要
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本研究では一過性の心理ストレスが運動パフォーマンスに与える影響を、ストレッサーに観察者の存在、パフォーマンスの測度に眼と手の協応動作を用いることで検討をおこなった。被験者は健康な男性21名であり、課題はAcu vision 1000というスポーツビジョンテストにおいて眼と手の協応動作を測定する装置を用いた。実験は練習セッションと実験セッションに分けておこない、実験セッションは、4人の観察者の前でおこなうAudience条件と、観察者のいないNormal条件に分けられた。また、実験中の心理状態はSTAIと二次元気分尺度を、生理的覚醒状態は唾液アミラーゼ活性と心電図(HR、R-R間隔、LF/HF比)を用いて測定した。その結果、観察者有りの条件では観察者無しの条件に比べてパフォーマンスが悪化した(t=-3.11, p<0.01)。しかし、心理的指標、生理的指標ともに条件間で差はみられなかった。そこでNormal条件からAudience条件で各指標の値が大きく上昇した群と、低下した群に分け、パフォーマンスの比較をおこなった。その結果、統計的有意差は見られなかったものの、観察者の存在により、心理状態がネガティブになった群は、ポジティブな心理状態になった群よりパフォーマンスが悪化し、生理活性が低下した群は上昇した群よりもパフォーマンスが低下する傾向を示した。これは、ネガティブな心理状態を発生させたものは、ポジティブな心理状態を発生させたものや生理的覚醒水準が上昇したものより、パフォーマンスの低下が大きくなったということを示している。以上の結果により、パフォーマンスは身体不安よりも認知不安に強く影響をうけるという二次元不安理論を支持するものであり、スポーツ場面における心理状態の重要性を表している
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