生鮮肉需要の構造変化に関するノンパラメトリック分析
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概要
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わが国における家計の生鮮肉(牛肉,豚肉,鶏肉)需要は,高度経済成長の開始以降,習慣形成効果によって構造変化を遂げてきたことが既往の研究で見出されている。しかしながら,それらの研究は,ある特定の関数型の需要関数を前提とし,そのパラメータを計測するパラメトリック・アプローチを共通して採用しているので,そこでの分析結果は果たして,実際の嗜好変化を反映したものなのか,あるいは需要関数モデルの特定化の誤りから生じた見かけ上のものなのか,識別不可能である。本稿では,関数型について全く前提を置かないノンパラメトリック・アプローチに基づいて,1958年〜1984年の期間にわが国家計の生鮮肉需要に構造変化が生じたか否か,について再検証する。分析結果は次のように要約される。対象期間において生鮮肉の一人当り購入量データは,全国,人口5万人以上都市,東京都区部のいずれについても,構造変化を顕示しない。したがって,既往の研究で見出された嗜好変化は,需要関数モデル特定化の誤りによる見かけ上のものである。さらに,対象期間の消費動向を所得と相対価格だけによって完全に説明する,微分可能な需要関数が存在することも確認される。したがって,そのような需要関数のモデル化と計測が,生鮮肉需要の将来予測を行ううえで重要な課題となろう。
- 帯広畜産大学の論文
- 1989-11-30
著者
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