育成牧場に預託された乳用育成牛の発育
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概要
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北海道における一般農家の乳用育成牛の発育実態をとらえ,育成牧場に預託された牛の昼夜群放牧の発育に与える効果を知るために,上士幌町大規模草地に預託された5〜30か月齢のホルスタイン種および種系約3000頭を用い,1972年5月より1973年10月まで体重,体高,腰角幅と尻長を計6回測定した。1)体重,体尺3部位とも7か月齢頃までの幼齢牛は,入牧時に標準(日本ホルスタイン登録協会)なみのほぼ良好な発育を示したが,9か月齢以後,体重の発育は徐々に遅れ,17か月齢頃には標準値を大きく下廻っている。しかし,24か月齢以後再び標準に近づく傾向が認められた。体高も9か月齢以後,体重と同様な傾向はあったが,標準下限値を維持しており,この部位は環境の影響を受け難いという従来の報告を確かめた。腰角幅,尻長の発育の遅れは体重の遅れよりも小さく,体高よりも大きい中間的な性質を示した。2)入牧時と退牧時の測定値の比較より,放牧の影響は概して体重と腰角幅に現われ,体高,尻長には現われにくいと思われた。3)放牧期日増体量は12か月齢以下527g,13〜18か月齢600g,19〜24か月齢768g,25か月齢以上816g(1973年度)と月齢が進むにつれ,日増体量が大きくなる傾向があり,とくに15か月齢以上の牛に著しかった。4)2年間連続入牧した牛(379頭)の舎飼期の発育は平均日増体431gであり,放牧期より劣っていた。また,放牧期には月齢の進んだものほど日増体量が大きいのに対し,舎飼期にはそのような傾向がみられなかった。5)昼夜放牧による体重の取戻し現象を検討した結果,入牧時体重がその月齢の"平均体重(M)-標準偏差(SD)"以下のとき日増体量が大きく,(M+SD)以上のとき小さくなる傾向があった。とくに19〜24か月齢で入牧した発育遅延牛が932g/日と極めて強い代償性発育を示した。6)前年度から引続き入牧した牛は,各月齢とも新規に入牧した牛よりも有意に日増体量が高く,同じ牧場の放牧経験をもつ牛が,採食その他に有利になることが推察された。7)秋生れ,春生れの子の発育比較より,早期交配・分娩という点では秋生れの子の方がより有利と思われた。
- 帯広畜産大学の論文
- 1975-10-10
著者
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