草類の消化性とその飼料価値に関する研究 : 1.若干草類の草体部位と放牧地草の管内消化率
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
北海道に広く栽培されている草種とその草体部位および放牧地草を試料として試験管法による乾物の消化率を測定した結果を要約するとつぎのごとくである。1.この測定法はイギリス草地研究所のTILLEY法によって実施した。供試した草種はアルファルファ(デュプイ),オーチャードグラス(マスハーデイ),アカクロバー(メヂユウム)および帯広畜産大学草地中央圃場で栽培した草地と放牧地草である。消化液は羊の第1胃から採取したものである。2.アルファルフアの茎部と葉部およびオーチャードグラスと比較参考のためビートパルプ,稲ワラを用いて消化後6時間目から48時間目まで6時間間隔で8回にわたってそれぞれの経過時間における消化率を査定した。その結果,アルファルファの葉部は6時間後においてかなり消化が進むが,茎部はおそく,オーチャードグラスのそれもおおむねアルファルファの茎部と同じ傾向を示す。参考のため測定したビートパルプ,稲稈の場合もほぼ同じである。このように消化速度の早いものとおそいものの2つの消化状態が認められる。ビートパルプの消化の場合,初めの消化はおそいが24時間後から急激に上昇する。つまり,アルファルファの場合,その葉部の消化は極めて迅速であることを示している。3.オーチャードグラスについて生育階梯に伴う消化率を測定した。一般に各部位とも生育階梯の進行に伴って消化率は低下する。葉部では生活力のあるものと枯死したものの比較を行なうと前者の消化率は比較的高い。各部位についてみると,一般に生育階梯の若い草類ではイネ科草(オーチャードグラス)でも,マメ科草(アカクロバー)でも茎部の消化率が葉部および穂部のそれよりも高いことは興味のあることである。また乾物消化率は草種によって異なるが,マメ科草7品種,イネ科草7品種の平均はつぎのごとくである。(1)全草マメ科草67.72%イネ科草52.92%(2)葉部73.63% 54.97% (3)茎部60.50% 55.29% (4)穂部45.74%一般に成長期に達した草類においては葉部の消化率が茎部のそれよりも高いことが認められる。4.放牧草地の乾物消化率は放牧の前後および放牧地の構成草種によって異なる。一般的にみると放牧前の草類は放牧後のそれに比して消化率が高い。つまり,放牧採食される部分は草体の上部であり,残された下部位のものよりも消化率が高いことを示す。さらに放牧時期も消化率に影響し,放牧初期の6月頃の草種は放牧末期の9月頃のものに比し消化率が高い。植生構成は放牧前ではイネ科草草とマメ科草がほぼ同じ位であるが,放牧後はマメ科草が少なくなる傾向を示す。このことは放牧によってマメ科草がイネ科草よりも多く採食されたことを示すものである。この試験管法と羊など乳牛の反留家畜を用いた常法による消化率を比較したところ,前者は後者に比してやや低い値,つまり92〜95%であったが,かなりの近似値を示した。このことからTILLYE法による試験管内消化率査定は生体法に比し極めて迅速にして多数の試料について適用される可能性があることを確認した。
- 1967-12-31
論文 | ランダム
- WWWにおけるインタラクティブな先読みシステムの設計と実装 (インターネット技術)
- 26.GE.CT/TにおけるSagitlal Coronal Reconstructionについて(◇近畿部会(第23回))
- 情報教育と関連付けたメールアカウント交付方法の検討 : Webを利用した「メール設定チェック」システムの開発
- 大学における情報教育の目的と実施方法に関する意識調査
- セキュリティを考慮した大学ネットワークの構築方法の検討