I-J遺伝子産物の免疫学的多様性
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概要
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抗体産生を抑制的に調節するTリンパ球間には機能的多様性が存在する。それらの機能を媒介する抑制T細胞因子を構成するI-J遺伝子産物の構造を,機能との関連において解析した。まず,細胞融合法を用いてI-J遺伝子表現のある抑制T細胞株を作製し,クローン化した結果,機能的に異なる3種類のT細胞株を得た。1)抗原特異的抑制機能を持ち,これがH-2 barrierを越えては作用しない抑制T細胞株(Ts_1)。2)抗原非特異的で,H-2 barrierを越えて作用する抑制T細胞株(Ts_2)。3)Ts_1が産生する抑制因子(TsF_1)の受容基を持ち,TsF_1によって活性化される抑制T細胞株(Ts_3)である。これらI-J表現のある抑制T細胞株を用いて,抗I-J^b抗血清B10.A(5R)anti-B10.A(3R)を吸収し,I-J分子の異同を調べた。吸収後の抗体活性は,T細胞株を標的とする細胞障害性及び抑制因子を吸収する能力を調べることで検討した。その結果,細胞表面,及び抑制因子に表現されるI-J遺伝子産物は,Ts_1とTs_2とでは異なるI-J分子で構成され,Ts_3は,血清学的に両方の抗原性を持つことがわかった。このことから,I-J亜領域の遺伝子産物には少くとも2つの構造的に異った分子が存在し,それぞれは,相異なる機能をmediateする抑制T細胞及び抑制因子に表現されていることが明らかとなった。