ラット再生肝における核酸前駆体利用のDiisopropylamine Dichloroacetateによる促進
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概要
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従来,種々の生化学的および薬理学的作用を持つことが知られるdiisopropylamine dichloroacetate(DADA)によるラット再生肝における核酸前駆体利用の亢進を確認し,さららにその作用機作について,種々の放射性トレーサーを用いて検討した。数日間にわたりDADAを腹腔内に注射することにより,ラット再生肝の酸溶性画分および核酸内adenineへの[^<14>C]formateおよび[1-^<14>C]glycineの取り込み,DNA中への[2-^<14>C]deoxythymidineおよび[2-^<14>C]deoxyuridineの取り込みはいずれも対照に比し促進された。とくにdeoxythymidineの細胞内プールがきわめて小さいことを考慮すると,これらの放射性トレーサーの利用促進は核酸および核酸前駆体の合成促進を示すと考えられる。一方,[^<14>C]formateのDNA-thymineへの取り込みが比較的低いこと,また同じone-carbon単位前駆体であっても代射経路がやや異なる[3-^<14>C]serineのthymineへの取り込みがDADAにより促進を受けにくいことから,かって示唆されたdiisopropylamine側鎖methyl基がone-carbon前駆体として働く可能性を検討した。側鎖methyl基,すなわち1,3位が^<14>Cで標識されたDADAをラット1匹あたり50μCi注射し,再生肝における核酸塩基内への取り込みをしらべたが,その利用度は低かった。DNA合成量を考慮して定量的に考察すると,DADAの側鎖methyl基が核酸塩基生合成に直接的かつ効率のよい前駆体として働くことはないと結論される。
- 千葉大学の論文
著者
-
園田 智子
千葉大 医 2生化
-
園田 智子
千葉大学医学部第二生化学教室
-
橘 正道
千葉大学医学部第二生化学教室
-
久田 俊和
千葉大学医学部第2生化学教室
-
橘 正道
千葉大学医学部生化学第二講座
-
橘 正道
千葉大学医学部
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