イヌ星状神経節に出入する有髄神経線維
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概要
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雑種成熟イヌ64例を用いて神経切除変性実験を行ない,福山の扇形細裂標本法により左の星状神経節に出入する有髄神経線維の動向を調べ,次の成績を得た。1.星状神経節への輸入線維総量は4478〜6251あり,そのうち66%〜67%は前根系交感神経線維で,34%〜33%が後根系求心性線維である。2.星状神経節の輸出線維総量は4461〜5295あり,そのうち61%〜68%は前根系交感神経線維で,39%〜32%は後根系求心性線維である。3.脊髄神経前根に由来し,交感神経幹(星状神経節など)でノイロンを交替せずに心臓,胸大動脈,鎖骨下動脈などに達する直達性交感性節前有髄線維を証明した。4.星状神経節に進入する前根系輸入線維のうち,上位線維群(C_4-T_3起源)は191%〜218%に増量して星状神経節を出るが,下位線維群(T_4-T_12起源)は36%〜30%に減量して該節を出る。また後根系輸入線維では,上位線維群は星状神経節を出る時248%〜127%に増量するが,下位線維群は46%〜35%に減量する。5.星状神経節における前根および後根線維の増量は,神経線維の分岐が原因である。6.星状神経節における後根系下位線維群の減量は,星状神経節における神経線維の無髄化と後根系線維から分かれた娘線維が交感性節後ノイロンとシナプスを作り終るためと考える。7.星状神経節または椎骨神経から分かれて頸長筋に至る筋枝に,C_8-T_3後根由来の求心性線維を証明した。8.交感性節後有髄線維の存在を実証した。この種線維は星状神経節に入る交感性節前線維の約13%にあたる。
- 千葉大学の論文