側彎症の肺機能に関する研究 : Harrington手術症例を中心として
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概要
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側彎症に対するHarrington手術後3年以上9年(平均5年)経過した108例を対象に,術前および術後肺機能の経時的推移と臨床成績について検討した。術前値の検討では%VCの低下,また動脈血ガス分析におけるPaO_2低下とSaO_2低下を認め,これらは側彎度の増大とともに著明になる傾向にあった。術後の経時的推移について%VCより検討すると術後1年では平均8%の減少をきたしたが術後2年で回復を示し,術後3年では4%の増加を認めた。このような経時的傾向はVC,PaO_2,SaO_2でもみられた。すなわち術後肺機能の経年的推移は術後1年で一時的低下現象が存在するが,2年目では回復を示し,3年以降は全般的に改善傾向にあった。従って術後肺機能を評価する際には少なくとも術後2年,原則的には術後3年以上の成績により判断するのが妥当と考えられた。そこで術後3年以上経過した35例について%VCより術後成績を検討すると改善群40%,不変群54%に対して悪化群はわずか6%に過なかった。肺機能障害の強い高度側彎症では特に改善の傾向が明らかであり,また手術時年齢別検討では低年齢層における肺機能面での手術の有効性を示唆する所見が認められた。原因別検討ではidiopathic,congenital,neurofibromatosisで改善がややよく,paralytic,Marfan's syndromeでは改善がやや少ない傾向にあった。
- 千葉大学の論文
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