わが国における沿岸砂州段数の地域的差異 : 砂州の砕波起源仮説に基づく解析
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概要
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外洋に面した太平洋沿岸の海浜はそのほとんどが1段バー海岸であるのに対して,日本海沿岸の多くは多段バー(複数のバー)の海岸である.このようなバー段数の地域的差異が何に起因しているのかということを明らかにするために,太平洋ならびに日本海沿岸から合計25地点を選定し,地形特性,波浪条件,底質粒径のデータを収集し,次元解析の手法を適用して要因間の結びつきを調べた.その結果,日本海沿岸のバーの数は次式で表せることがわかった.N=2.6(H_b/gT2tanβ)^<3/2>ここに,Nはバーの数,H_bは対象海岸に襲来する最大級の波の砕波高,Tはその波の周期,tanβは浅海域の勾配,gは重力の加速度である.この式には底質粒径の影響は直接には表われてはいないが,tanβという要因の中に間接的に包含されている.日本海沿岸と太平洋沿岸とでバーの数に組違がみられるのは両海域での波候(Wave climate)の違い(前者では風波,後者はうねりが卓越)が原因である.どちらの沿岸域においても,バーは暴浪時のSpilling型砕波によって形成され,底質粒径が同じような場所ならばほぼ同数のバーができるが,日本海沿岸では暴浪後の波高減衰と周期の減少とがほぼ同時に生ずる結果,バーの形態が維持されやすいのに対して,太平洋沿岸では暴浪後,あるいは暴浪間に襲来するうねりによりバーが平坦化され消滅する結果,全体的にバーの段数が少なくなっている.
- 2007-10-25
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