イチゴの減数分裂 : 種子繁殖性イチゴ品種の育成に向けて
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概要
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種子繁殖性のイチゴ品種育成のため,親系統となる純系の育成を行っている.自家受精の繰り返しによる純系育成の課程における遺伝子の分離について,細胞遺伝学的な基礎を与えるため,8倍体のイチゴ品種「とちおとめ」(2n=8x=56)の減数分裂を観察した.イチゴでは,減数分裂第1分裂の終わりに細胞質の分離がなく,直ちに第2分裂にはいり,この間染色体の脱凝縮が行われないことが判明した.四分子への細胞質の分離は第2分裂の終期に行われ,4つの核が平面上に配置されるのではなく正四面体の頂点にあたる位置に来ることが分かった.染色体対合は中期よりも前期の移動期に観察が容易であった.全細胞中,70%以上の細胞が28本の2価染色体をもっており,その他の細胞でも多価染色体をもつ細胞は少なかった.このことはイチゴが8倍体であるにもかかわらず,安定した2倍体的な相同染色体間の対合を行っており,安定した稔性をもつことを反映したものといえる.
- 千葉大学の論文
- 2007-03-31
著者
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