鼻科手術教育における解剖学的知識と手術手技の客観的評価法の検討
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
副鼻腔手術は,これまでの外切開による根本手術から一転して,内視鏡が導入されたことによりその手法は向上し低侵襲の手術となった。しかし反面,狭い術野での操作となり,多くの器具を使い高度な技術が要求されるようになった。そのため,新しい手術教育・評価法が望まれている。本研究の目的は,術者個人の能力を客観的に評価し,自らも認識した上で,具体的に個人に応じた手術指導法を模索することにある。研修医から熟練医師の解剖学的知識,手技の熟練度,理解度,感性などについて行動工学的な手法を用い個人の能力を客観的に評価することを試みた。1,画像による解剖知識の評価法については,アイマークレコーダーを用い被検者の視線軌跡解析を行い,画像診断における解剖知識,診断にいたる思考過程を検討した。その結果,研修医レベルでの知識不足を客観的に評価することができた。さらにデータ画像上に表示される視線軌跡の違いを分析することにより,CTを見る被検者がどこで,どのように迷っているのかを把握することが可能であった。2,模型による解剖,手術手技の評価法については,精密ヒト鼻腔モデルを用い,内視鏡や鉗子手技,その操作性,モデルにかかる加重,モデルの削開範囲などを検討した。その結果,研修医レベルでは両手操作の難しさ,不必要な方向への大きな加重,必要最小限の範囲を超える削開などが明らかとなった。3,臨床的解剖知識の評価法については,ナビゲーションシステムを応用し,CT画像(2次元的)と鼻腔形態(3次元的)の解剖構造を頭の中でどこまで確実にイメージできるかを評価した。その結果,熟練度,解剖部位によってイメージの捉え方に3つのパターンのあること,また解剖部位や術野の見え方でその感覚は異なることが明らかとなった。以上のことから,本法によって,手術学習の過程を科学的,行動工学的に分析し,術者個人の特性と能力を客観的に評価し,指導に役立てていくことが可能と考えられた。個人が自ら体験,自覚し,自ら評価し,納得した上で自ら学習することが重要な点である。
著者
関連論文
- ナビゲーションシステムを利用した術後性上顎嚢胞開放術
- 内視鏡下鼻内手術における2, 3の新技術の検討
- 耳鼻咽喉科手術ナビゲーションシステム
- ナビゲーション手術の現状 : 全国主要施設耳鼻咽喉科アンケート結果より
- ヒト鼻腔モデルを用いた鼻内内視鏡ナビゲーション手術教育システム
- 仮想の「鏡」による内視鏡下鼻内手術の遠隔手技指導システム
- 23.重複癌をきたした皮膚筋炎の1例(第53回 日本肺癌学会北陸支部会,北陸支部,支部活動)
- 副鼻腔嚢胞性疾患手術 : 鼻外法
- 胆管用Tチューブを使用した内視鏡下鼻内DCR法の検討
- ハイパーミラーによる内視鏡下鼻内手術手技の遠隔指導システム
- ナビゲーション医療の現状 : 次世代医療機器ガイドライン策定事業報告より
- 動眼神経麻痺のみを呈した蝶形骨洞アスペルギルス症例
- 11.上皮小体機能亢進症における術中迅速iPTH測定の経験(一般口演,金沢医科大学医学会第39回学術集会)
- 鼻科手術教育における解剖学的知識と手術手技の客観的評価法の検討
- 耳鼻咽喉科疾患治療の最前線ナビゲーションシステムの耳鼻咽喉科手術への応用「鼻・副鼻腔領域の疾患を中心に」
- 鼻科領域における手術教育とその評価法
- 耳鼻咽喉科におけるナビゲーション手術
- 耳鼻咽喉科におけるナビゲーション手術
- 再手術例におけるナビゲーションシステムの適応と限界
- 副鼻腔嚢胞再手術例に対する Tracking System Navigation
- 耳鼻咽喉科領域におけるナビゲーションサージャリー
- Functional navigation surgery の可能性 : 顔面神経モニタリングの併用
- 試験紙法による小唾液腺の機能検査(第2報)
- 摘出に苦慮した異物の3例
- 扁桃摘出術およびアデノイド切除術に対するアンケート調査 : 耳鼻科, 皮膚科, 腎臓内科, 小児科より見た考え方
- 小唾液腺分泌機能測定のための試験紙の開発とその臨床応用に関する研究
- Day surgeryにおけるレーザー, 電気メスの利用
- 原発不明の副咽頭間隙扁平上皮癌の1例 : その診断と対応について
- 副咽頭間隙腫瘍の2症例
- ヒト迷路の Virtual Endoscopy
- 6 当科におけるレーザー使用の現状 : 特に鼻科領域を中心として
- ナビゲーションシステムを用いた先天性外耳道閉鎖症手術例
- 耳科領域におけるナビゲーションシステムの現状
- 耳科手術におけるナビゲーションシステムの応用(第2報)
- 鼻副鼻腔領域のナビゲーション手術の現状
- 耳鼻咽喉科領域のナビゲーション手術
- 髄液鼻漏を伴った前頭蓋底仮性髄膜瘤の一症例
- 立体モデルとナビゲーションシステムを使用した内視鏡下鼻内手術における教育方法とその評価
- ナビゲーション手術のための画像
- 顔面神経ナビゲーションの可能性
- ナビゲーションの使用 : より効果的に使用するために
- 内視鏡下鼻内手術におけるナビゲーションシステムの応用
- 耳科領域におけるナビゲーションシステムの応用 : マーカーの位置, レジストレーションの工夫について
- 17 耳鼻咽喉科領域におけるナビゲーションシステムの応用 : 耳科領域の手術について
- 耳科領域におけるナビゲーション手術
- 17 耳鼻咽喉科領域におけるナビゲーションシステムの応用 : 耳科領域の手術について
- 16 耳鼻咽喉科領域におけるナビゲーションシステムの応用 : 鼻科領域の手術について
- 28ナビゲーションシステムの耳鼻咽喉科領域での応用