新しい学域「ホスピタリティ・マネジメント」と大学教育
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概要
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日本には大学が約750校近くあると言われているが、その多くが戦後に設立され、しかも明治以来に設立された伝統校を見習う形で開校しているために、似通った学部並びにカリキュラムが殆んどである。文部科学省の指導にも問題点があったことは否めないが、少子社会を迎え、全入時代といわれる今日、各大学とも何か特徴を持った、且つ社会で役に立つ教育が求められている。一方、社会においても、産業革命以来の「モノ」を中心とした一次、二次産業と、「モノ」に付随したサービスや情報を主体とした三次産業とに縦割りで区分された構造と生産者側の理論を基に経済発展をしてきた世紀から、自由市場と消費者側の理論を基にした「ココロ」を中心とした知識価値社会の二十一世紀へと突入してきた。従って、企業環境も大きく変化したにもかかわらず、大学教育は依然として旧態の学問に固執してきた感が無きにしもあらずである。経営学も大きく変化してきたが、企業の成果も人の心に左右されるようになった二十世紀後半より、従来、宗教的並びに心理学的学問の範疇であった「ホスピタリティ」のコンセプトが経営学、経済学や会計学の視点からも種々研究がなされてきた。しかし、「ホスピタリティ・マネジメント」の定義は、欧米の学会でもいまだ定まらぬ状態のまま、あらゆる産業のソフト・インフラストラクチャーとして重視されるようになって、多くの大学教育のカリキュラムにも取り入れられてきた。格差社会、生涯教育、新しい知識価値社会などに直面した大学教育における「ホスピタリティ・マネジメント」導入についての意義と問題点などを提唱したい。