入院中の小児の在宅移行に必要な訪問看護に対する課題その2 : 兵庫県下の病棟看護師を対象とした質問紙調査の自由記載の分析より
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概要
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近年、高度な医療的ケアが必要な子ども達が自宅で生活するケースが増加しているが、訪問看護ステーションの受入れが十分に整っていない現状がある。本研究では、小児の在宅移行が進んでいくための条件と、その条件のうち病棟看護師および訪問看護師に求められる条件を明らかにすることを目的とした。兵庫県下の小児の病棟看護師を対象とした質問紙調査を行ない、その中の「どうすれば在宅へ移行できると思うか?」「今後の小児訪問看護への期待は?」の自由記載部分の内容を分析した。得られた結果より、病棟看護師や訪問看護師が取り組む課題等について検討した。結果と考察について以下に示す。1.結果全体としては、地域・医療機関側の条件、患児側の条件、家族側の条件に分類され、種々の問題が山積した状態であることが分かった。2.病棟看護師が主として取り組むべき課題として、患児の身体的な状態が安定保持され、家族が知識・技術を習得する等の在宅移行に向けての準備が整うように関わることが挙げられていた。また、スムーズな在宅移行のためには、訪問看護の充実のみを課題ととらえるのではなく、病棟内での課題についても多く挙げられていた。3.小児訪問看護が主として取り組む課題として、まず訪問看護における小児の受け入れ体制の整備が挙げられた。そして、小児の人工呼吸器管理などの専門性の高いケア技術が提供され、家庭看護者の精神面、身体面への支援が行われていくことが求められていた。4.小児在宅移行を推進する連携や制度に関する課題としては、家庭看護者の休息確保が十分に行われ、なおかつQOL向上を目指すことが出来る社会資源制度の整備・充実や誰もが利用しやすい社会資源制度の整備が行われることが求められていた。そして、よりよい社会資源制度の充実のためにも地域と医療機関の連携を行っていくことが重要であると考える。今回は、実際に在宅移行することの出来た事例については調査していない。今後は、実際に小児の在宅移行を実施していく中で見える課題に関しても明確化し課題解決を行っていく必要性があると考える。
- 兵庫県立大学の論文
- 2007-03-15
著者
-
勝田 仁美
兵庫県立看護大学
-
勝田 仁美
兵庫県立大学看護学部生涯健康看護講座小児看護学
-
小迫 幸恵
兵庫県立大学看護学部生涯健康看護講座小児看護学
-
勝田 仁美
兵庫県立大学看護学部
-
寺下 久美子
兵庫県立大学看護学部看護基礎講座
-
三宅 玉恵
兵庫県立大学大学院看護学研究科
-
大向 征栄
兵庫県看護協会明石キャンパス訪問看護ステーション
-
三宅 一代
兵庫県立大学看護学部生涯健康看護講座
-
岡田 和美
兵庫県立大学看護学部生涯健康看護講座
-
寺下 久美子
兵庫県立大学看護学部看護基礎講座基礎看護学
-
岡田 和美
兵庫県立大学看護学部生涯健康看護講座小児看護学
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