中性K中間子系の時間発展についての考察(第12回山陽夏の学校(SSI),地域スクール報告)
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概要
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中性K中間子系の発展方程式はK中間子の(2π等への)崩壊を考慮する便法として非エルミートなハミルトニアンを用いて書かれるために、見かけ上Kの存在確率が失われているように見える。でも、これは崩壊後のチャンネル(2π、3π、πlv....etc)などを考慮していないためで、これら崩壊後のチャンネルを考慮すればハミルトニアンはエルミートになっているのではないであろうか。そこで、崩壊後のチャンネルも考慮したエルミートなハミルトニアンから出発して、effectiveに崩壊幅Γを導けないであろうか。この話の中では、簡単のために崩壊後のチャンネルとして2πのみを考えて話をすすめていく。また、我々はdecayとoscillationの区別にも興味をもっている。離散的状態に関するエルミートなハミルトニアンから出発するとK⇔2π等のoscillationを回避できないので、一度崩壊したはずのK粒子が再生してしまうことになり、現実をうまく説明できない。そこで、崩壊後の2πの状態を連続スペクトラムとして考えると、一度崩壊したはずのK粒子が再生するようなことはなくなり、現実をうまく説明できる事が示される。この話の中では、結果として時間が十分たつと従来の非エルミートなハミルトニアンを用いたものと同じ結果に移行するが、それ以前では従来のものとの相違が見い出されることを説明します。
- 素粒子論グループ 素粒子研究編集部の論文
- 1997-08-20