Festuca属とLolium属牧草の完熟種子由来のカルス形成ならびに植物体再生に及ぼす2,4-Dの影響および草種・品種間差
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概要
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カルス形成を効率的に行うため,カルス形成に及ぼす2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)の濃度の影響およびそれらの草種・品種間差を調べた。供試草種はFestuca属とLolium属の各2草種で,各草種につき4-7の計22品種であった。外植体として完熟種子を用い,2,4-D濃度を4段階とし,カルス形成率とカルスの大きさを調べた。カルス形成率,大きさともに草種間に有意差がみられ,形成率はペレニアルライグラスが他の3草種に比較して高く,大きさではイタリアンライグラスが大きく,トールフェスクが小さかった。カルス形成率の品種間差はメドウフェスク,トールフェスクおよびイタリアンライグラスで,カルスの大きさではトールフェスクおよびペレニアルライグラスに認められた。カルス形成率と大きさの2,4-D濃度間差はメドウフェスクのカルス形成率を除くすべての場合でみられ,各草種とも5mg/lで最も高い値を示した。カルスからの不定器官の再分化率はペレニアルライグラスで高く,メドウフェスクでは2,4-Dの低濃度処理が高い傾向があった。各草種ともにカルスからの不定根再分化頻度は高く,緑色または白色不定芽の再分化頻度は低かった。各草種において,カルス形成率,カルスの大きさおよび緑色不定芽の再分化率を考慮するとカルス培養に最適な2,4-D濃度を決定することは困難であったが,ペレニアルライグラスの数品種では2,4-D濃度は約5mg/lが適当と考えられた。緑色不定芽のほとんどは根を形成し,植物体に再分化した。
- 日本草地学会の論文
- 1994-10-31
著者
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