積雪地におけるLolium属品種・系統の農業的特性の変異とクラスター分析による分類
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概要
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わが国の積雪地に適したイタリアンライグラス(Lolium multiflorum LAM.)の品種育成のための基礎資料として,イタリアンライグラスの38品種・系統,その他のLolium属6種13品種・系統,L. hybridumの1品種及びFestuca-Lolium hybridの2品種の計54品種・系統を供試し,農業的特性の変異を検討し,クラスター分析による分類を試みた。各品種・系統の耐雪性と1番草の乾物収量との間には有意な相関関係が認められ,積雪地帯においては耐雪性の強弱が,収量に直接影響しているものと考えられた。また,耐雪性と出穂期との関係では,早生,中生群の中に耐雪性に優れる品種・系統が多数存在した。草型及び越夏性に関しては,一般に早生ほど直立型で,越夏性が不良となり,晩生になるにしたがってほふく型で,越夏性が良好であった。25の農業形質に基づいてクラスター分析を行った結果,8クラスターに群別できた。クラスターIはL. multiflorumから構成され,耐雪性に優れ,収量が多く,草丈,葉身長,穂長も長く大型である。クラスターIIもL. multiflorumから構成され,クラスターIよりも耐雪性,収量性は劣るが,出穂期が早く,クラスターIより小型である。クラスターIIIはL. multiflorum,L. perenne,L. hybridum及びFestuca-Lolium hybridから構成され,耐雪性,収量性はクラスターIと同様に高いが,出穂期が最も遅く,ほふく型で越夏性に優れる。クラスターIVはL. multiflorumから構成され,最も出穂期が早く,直立型である。クラスターVはL. strictum,L. rigidum及びL. subulatumから構成され,耐雪性が最も弱く,ほふく型で穂数,茎数が多い。クラスターVIは自殖性種のL. remotum,L. temulentumから構成され,出穂期がクラスターIVに次いで早く,収量及び再生が最も低い。クラスターVIIはL. temulentumから構成され,種子千粒重が最も重い。クラスターVIIIもL. temulentumから構成され,最も直立性が高い。以上,積雪地におけるLolium属の種,品種・系統の特性評価により,積雪地においては,クラスターI及びIIIが重要であることが明らかとなった。
- 日本草地学会の論文
- 1994-10-31
著者
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