内視鏡による放牧草地における牧草根の観察 : 1.根の伸長・枯死速度及び回転率の推定
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概要
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放牧草地の牧草の根の動態についての情報は,対象となる根が土中にあるため調査が困難である等の理由から,きわめて少ない。そこでトールフェスクとオーチャードグラスが優占する放牧草地にガラス製の地下部観察筒を埋設し,その筒へ内視鏡を挿入して牧草根の観察を行うことにより,根の伸長・枯死速度及び回転率等の情報を得た。生存根長(1985年)の3月下旬より5月にかけて急激に増大した。その後は,1986,1987年の5〜7月に小さなピークがみられたが,年間を通じて変動幅は小さかった。新生根長積算値(新しく出現した根の長さの積算値)の推移により算出した根の伸長速度は,3年間ともほぼ同様な傾向を示し,4〜5月と11〜12月に極大値をもつ2山型になる場合が多かった。これに対して枯死根長積算値(枯死消失した根の長さの積算値)の推移より算出した根の枯死速度は,その季節性が伸長速度ほど明らかでなかった。年間の生存根長の変動が小さくなった1986年1987年において,年間新生根長と年間枯死根長の平均値,及び年平均生存根長から推定した全層(0〜22.5cm)の根の平均回転率は,1986年1.05/年,1987年0.88/年,根の寿命はそれぞれ0.95,1.14年であった。
- 日本草地学会の論文
- 1994-02-28
著者
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