ソルガム品種の飼料及び繊維成分に及ぼす栽植密度の影響
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概要
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ソルゴー型(SCS 405),ソルゴー型高糖タイプ(SG-1 A)及び兼用型(スズホ)の各品種を栽植密度(疎植区:476本/a,標準区:1481本/a,密植区:4688本/a)を変えて栽培し,生育状況とサイレージの発酵品質及び飼料成分,繊維成分を検討した。また,材料草の部位別乾物割合とその繊維成分についても検討した。栽植密度を変えた場合のソルガムの生育は,3品種とも栽植密度が高くなるにつれて早生化し、可溶性糖類が高くなり乾物収量が向上した。とくに,密植区の乾物収量は疎植区に比べ2倍以上となった。サイレージの発酵品質は,供試した3品種ともpHは4.1以下となり大きな差はみられず,栽植密度による変化も認められなかった。しかし,サイレージの成分は栽植密度の影響を受け,SCS 405及びスズホでは栽植密度が高まるにつれて租繊維(CF),中性デタージェント繊維(NDF),細胞壁物質の有機物部分(OCW),及びOCWの内セルラーゼによる消化性の低い分画(Ob)などの繊維成分が顕著に上昇し,可溶無窒素物(NFE)は減少した。SG-1 Aは,繊維成分の上昇がわずかであった。材料草の部位別乾物割合は3品種とも異なる変化を示した。栽植密度が高くなるにつれてSCS 405は茎の表層の割合が高くなり,スズホでは子実割合の減少がみられ,SG-1 Aでは各部位の割合変化は少なかった。茎の表層は繊維成分の多い部位であり子実部は繊維成分の少ない部位であることから,密植したときのソルガムサイレージの繊維成分の増加は,部位別割合の変化によると考えられた。またCFの増加にともないNFEは減少したが,可溶性糖類及び繊維成分が上昇していることから推察して,NFEに含まれる成分の内デンプンが減少した可能性が示唆された。供試した品種の中で飼料価値から密植の適応性を検討すると,SCS 405では茎部の表層割合が高くなり,スズホでは子実割合が低下するためどちらも適さないと考えられ,SG-1 Aでは形態的な変化及び飼料成分の変化も少ないことから密植に適すると考えられた。
- 1993-06-25
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