出穂時期における寒地型イネ科牧草のin vitro乾物消化率に及ぼすいくつかの要因
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概要
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オーチャードグラス(キタミドリ),トールフェスク(ホクリョウ)およびチモシー(センポク)を,1979年から1981年の間,出穂始めの日から1週間および2週間後に刈り取り,それらを出穂・穂ばらみ・未出穂分げつに分け,その構成割合とin vitro乾物消化率(IVD)を求めた。生育段階の異なる分げつが混在している圃場牧草のIVD,分げつの構成割合および各分げつのIVDは年次間で異なった。圃場牧草のIVD値の年次間差には,気温および分げつ構成割合の違いによる影響がみられた。上記3草種について1982年に,一定面積内に出現した出穂分げつのみを,3日間隔で刈り取った。それらのIVD値(Y)を目的変数とし,5月1日から刈り取りまでの日数(X1)および刈取り前3日間の日平均気温合計値(X2)を説明変数とした重回帰分析を行なった。その結果,チモシーのIVDに対するX1,X2の標準偏回帰係数はそれぞれ-0.887,-0.727が得られ,IVDに及ぼす日数と気温両者の影響が認められた(p<0.01)。また,3草種込みのIVDに対するX1,X2の標準偏回帰係数はそれぞれ-0.966,-0.135であり,遅く出穂した分げつのIVDが低くなる傾向が認められた(p<0.01)。次に,出穂分げつのIVDと化学成分の関係をみると,オーチャードグラスの細胞壁成分・ADF・ADL含有率はIVDの低下に従って増加した。しかし,トールフェスクおよびチモシーの各成分については,オーチャードグラスほど明確な傾向がみられなかった。
- 日本草地学会の論文
- 1991-04-30
著者
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