チモシー(Phleum pratense L.)優占草地へのアカクローバ(Trifolium pratense L.)追播 : III. 帯状耕耘並びに全面撹拌処理による追播技術
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概要
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帯状耕耘並びに全面撹拌処理によるアカクローバ(以下RCと略す)の追播技術について3つの試験を行い,検討した。1. 追播時における草地表層の撹拌方法として,ロータリハローを用い,強,弱の2段階の全面撹拌処理,また更新専用機を用いて幅9cmの帯状耕耘処理を行い,その後の再生および植生の変化について比較した。処理年の秋におけるチモシー(以下TYと略す)の再生草量は,無処理区を基準として全面撹拌強処理区2%,全面撹拌弱処理区29%,帯状耕耘処理区46%であり,全面撹拌強処理区が極端に劣っていた。2年目の1番草におけるアカクローバの乾物重割合は,全面撹拌弱処理区が54%,帯状耕耘処理区が48%であったが,全面撹拌強処理区は69%であった。TYとRCを合わせた年間乾物収量は,無処理区を基準として全面撹拌弱処理区141%,帯状耕耘処理区151%,全面撹拌強処理区120%であった。2. 帯状耕耘処理による追播において,追播時の窒素施肥(0,4kg/10a)と追播後の掃除刈り回数(1,2回)がTYおよびRCの生産量,草種構成に及ぼす影響を検討した。追播時の窒素施肥は追播当年のTY再生草量にも,また,2年目のRC収量にもほとんど影響を及ぼさなかった。掃除刈り回数を多くするとTYの当年の再生草量を少なくし,2年目のRC収量を増加させる結果が得られた。しかし,RCの乾物重割合では掃除刈り処理間の差は明白ではなかった。3. 草地表層の全面撹拌弱処理および帯状耕耘処理による追播法について,2年目早春の窒素施肥(0,2,4kg/10a)が,RCの定着に及ぼす影響を検討した。両追播法とも早春の窒素施肥量が増加するに伴いRCの収量は低下することが明らかになった。したがって,早春の窒素施肥量は0-2kg/10aが適当であると推察された。以上のことから,草地全面の弱い撹拌処理または帯状耕耘処理によってRCを追播し,当年1回程度の掃除刈りと2年目早春の窒素施肥を抑制することにより,TYの再生を著しく阻害せず,RC導入でき,処理2年目の1番草からのRC割合の増加とともに生産量をも増加させ得ることが明らかとなった。
- 日本草地学会の論文
- 1991-01-31
著者
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