38. Why is the compact state of DNA preferred at higher temperature? : Folding transition of a single DNA chain in the presence of a inultivalent cation(poster presentation,Soft Matter as Structured Materials)
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概要
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長鎖DNA分子は多価のカチオンを示加により、膨潤したコイルからコンパクトに折り畳まれた凝縮状態へと不連続な転移を起こす。本研究では多価カチオン存在下において長鎖DNA分子の単分子観測を行い、温度依存性・塩濃度依存性について調べた。その結果、凝縮状態は高温側・低塩濃度側で凝縮状態が安定になった。コイル・凝縮状態は無秩序・秩序状態であるとそれぞれみなすことができるが、温度依存性の実験結果によると直感と反し高温側で秩序状態が安定になっており、この結果は凝縮に伴いエントロピーが増大することを示している。凝縮状態における系全体のエントロピーがコイル状態のそれよりも大きくする原因は、凝縮に伴いエントロピーが増大すようなイオン分布(低分子、高分子イオンを含む分布)を形成するためであると考えられる。そこで、凝縮に伴い高低価数のイオン間に交換が生じるといったメカニズムを提案した。イオン交換とは、凝縮に伴い高価数のイオン(4価カチオンとポリアニオン(DNA))は凝縮していく一方、ポリアニオン(DNA)に凝縮していた低価数のイオン(1価カチオンと1価アニオン)は押し出されバルク中に放出されるというものである。これら温度.塩濃度依存性の結果はこの凝縮に伴うイオン交換による系の並進エントロピー変化により説明できることを明らかにした。
- 物性研究刊行会の論文
- 2005-09-20