単一高分子鎖の自励振動(第10回『非平衡系の統計物理』シンポジウム,研究会報告)
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概要
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熱力学的開放条件下で1次相転移(凝縮状態とランダムコイル状態の2状態間の高次構造変化)を示すT4DNA単分子鎖が、周期的に高次構造変化を示す現象(単一高分子鎖の自励振動)について報告する。具体的には、メゾスコピックな1次相転移系の外場応答性と局所的な非平衡条件を競合させることで、自励振動が発現すると予測し、次のような実験を行った:cwNd:YAGレーザー(波長1064nm)の光ピンセットを用い、レーザー焦点に局所的に熱力学的開放条件を構築して非平衡度(局所加熱による温度勾配)を設けると同時に、そこにDNA凝縮体を捕そくした(予め局所加熱により凝縮状態のDNAが解けるように折り畳み相転移の温度依存性をデザインした)。その結果、自励振動(周期〜秒)が観測され、理論的には熱力学的開放条件下に配置されたメゾスコピックな1次相転移系から発現するリミットサイクル振動として記述されることが明らかにされた。
- 物性研究刊行会の論文
- 2004-09-20
著者
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