女性の大腰筋及び大腿四頭筋横断面積の加齢による変化

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高齢者の転倒による骨折は,いわゆる寝たきりの大きな原因となっており,転倒予防は高齢者にとって重要な課題である。最近,転倒の予防対策の中で運動療法が注目されてきている。これまでの転倒予防は,大腿四頭筋を代表とする下肢筋群の強化を中心に行われてきた。しかし近年,大腰筋(脊椎と大腿骨をつなぐ筋肉)が歩行能力と密接に関係することが明らかになり,大腰筋と転倒との関連が注目されている。本研究は,高齢者の転倒予防に関する研究の一環として,各世代の大腰筋横断面積を計測し,大腿四頭筋横断面積と比較することにより,筋量の加齢に伴う変化の特徴を明らかにすることを目的とした。本研究の対象者は,転倒による骨折の危険が男性の約2.5倍高い女性とした。二つの市に居住する20歳から79歳までを10歳毎の6年齢階級に分け,各年齢階級35名ずつ,合計210名の女性について,大腰筋及び大腿四頭筋横断面積を筋量の指標として測定した。測定には磁気共鳴断層撮影装置を用いた。大腰筋及び大腿四頭筋横断面積を,各年齢階級間で比較した。また,大腰筋及び大腿四頭筋の20歳代に対する他の年齢階級での萎縮の程度を両筋間で比較検討した。その結果,加齢に伴う筋横断面積の低下について,筋の種類によって大きな違いがあることが明らかになった。大腰筋は横断面積のピークである20歳代以降漸次衰退し,60歳代(対20歳代筋横断面積比0.817)から70歳代(同0.681)に急激に衰える(60歳代対70歳代p=0.001)のに対し,大腿四頭筋横断面積は40歳代(同1.000)までは維持され,また60歳代(同0.857)から70歳代(同0.784)にかけての急激な衰退は見られなかった(60歳代対70歳代p=0.167)
2006-12-30

女性の大腰筋及び大腿四頭筋横断面積の加齢による変化

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