中国の心身不自由高齢者の介護に関する研究 : 本渓市における在宅高齢者の心身不自由度及びその介護の実態

概要

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背景 : 中国本渓市における60歳以上の在宅高齢者について,心身不自由度と介護の実態を調査検討し,中国における介護福祉対策の一端に寄与することを目的とした。方法 : 市街 : 2地域に居住する60歳以上の在宅高齢者1,585名全員を対象に,著者が中国語に翻訳した日本の要介護認定調査票等を用いて,在宅高齢者の心身不自由度とその介護の実態を自宅訪問により調査した(回答率 : 87.8%)。結果 : (1)対象者の心身不自由による要介護者率は20.5%,確認できた中等度以上の要介護者の率は6.0%であった。(2)介護者の殆どは家族で,老老介護は43.2%を占め,また介護者の健康状態は,「余り良くない+良くない」者が24.4%であった。(3)介護者の76.0%は日常生活への影響があり,30.0%以上の介護者は,自分の老後の介護,自由時問がない,自分の健康不安,老後の収入に悩みやストレスがあった。結論 : 高い要介護者率と介護者の重い負担が明らかになった。これは本渓市に限らないと推測され,本研究の調査方法を参考にして,中国各地域でモデル調査を実施することが必要だと考えられる。公的な介護専門職と介護施設の量的,質的な充実は中国の社会福祉事業の緊急課題である。
2006-12-31