がん化における間質細胞の関与 : 間質細胞のゲノム不安定性からの解析(<特集>第30回北里医学会総会・学術講演会)

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発癌における間質細胞の関与をゲノム不安定性の面から明らかにするために,大腸および食道の腫瘍及びその関連病変を対象に病理組織切片からマイクロダイセクション法によって上皮細胞・間質細胞を分離・採取し,PCR-GeneScan法によって広範囲のマイクロサテライトマーカーを使ってMicrosatellite instability(MSI), Loss of heterozygosity(LOH)を検索した。その結果,Sporadic colontumor系では上皮細胞が病変の進行とともにMSI, LOHとも階段的に頻度が上昇し,間質細胞は低頻度であることから,上皮細胞優位型であった。一方,潰瘍性大腸炎-大腸癌系では再生粘膜から浸潤癌まで間質細胞のLOHが比較的高い頻度でみとめられ,これに上皮細胞のLOH頻度が階段的に上昇するという間質細胞先行型を示した。食道病変の扁平上皮癌系では病変の進行とともに上皮,間質細胞ともにMSI, LOHが階段的に上昇して,上皮・間質細胞相互型を示した。Barrett's carcinoma系では間質細胞先行型を示した。以上より,大腸,食道の癌化には間質細胞のゲノム不安定性が関連していることが示唆されたが,特に慢性炎症からの発癌である潰瘍性大腸炎-大腸癌系,Barrett粘膜-Barrett's carcinoma系では早期から間質細胞のゲノム不安定性(特に染色体17番及び腫瘍抑制遺伝子近傍のlocus)が発癌につよく関与している可能性が示された。
北里大学の論文
2005-06-30

がん化における間質細胞の関与 : 間質細胞のゲノム不安定性からの解析(<特集>第30回北里医学会総会・学術講演会)

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