ネコカリシウイルス(FCV)の分子多様性に関する研究

概要

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FCV感染野外例において,3年(5回)に渡るウイルス分離により22株分離され,originをoutgroupとした分子系統樹により,1-3年目(3-5回目)の分離ウイルスが一つの明瞭なクラスターを形成した。1st isolatesの中和抗体価とアミノ酸配列の距離の相関関係では,originからのアミノ酸距離が遠くなるほど交差性が低くなることが示された。FCVは個体を通過するに従い,アミノ酸距離が遠くなり,それに伴い中和抗体に対する交差性も低下するようである。排泄期間とoriginとのアミノ酸距離の関係では,領域B,領域C,3'HVR of E,領域Fで高い負の相関が見られた。個体問伝播をする時にoriginとのアミノ酸距離が遠くなるほど排泄期間が短くなる傾向が見られた。逆に距離が近い株に感染した個体ほど排泄期間が長く持続する傾向があった。1年以降に分離されたウイルス(3rd, 4th, 5th isolates)はさらに変異が顕著となり,それ以前に分離されたウイルスと異なるクラスターを形成し,排泄期間の長い個体が見られた。