公的機関での幼児期からの二言語性(バイリンガリズム)の試み : アルザス方言を導入したストラスブール(フランス)の託児所LOVISAの場合
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
アルザス方言とフランス語の両言語が何世紀も共存してきたフランスのアルザス地方であるが、近年のアルザス方言の衰退は顕著である。1年前、著者は当託児所よりアルザス方言の導入について意見を求められた。2006年1月、当託児所はフランス語と平行してアルザス語を導入することを決定し、実行に移している。実は、その決定に至るまでに、方法論等について多くの疑問が出された。この論文では、それらの中からポイントを三つに絞り、今後の展望を考察する。まず、二言語導入にあたり、該当児の年齢が低い(3ヶ月から3歳)ことからくる不安については、現存の多言語関係の諸文献や過去の実例をみても問題ないと言える。次いで、なぜ第二言語に標準ドイツ語ではなくアルザス方言なのかという疑問について。自然な形で幼児期からこの方言に接する機会が極限となってしまった現代、ある程度計画的に言語にふれる機会を作ることが、子どもらが成長してからの展開につながる素地を作るという理由から、先祖からのアルザス方言が必要不可欠である。最後に、早期両言語の環境を作る必要や条件について。当託児所は、諸条件を考慮して、とりあえず毎週5分から15分のアルザス方言での歌や遊びの時間を取り入れている。著者は、更に日常的に「一人一言語」主義をとることが実用的で、有効であると考える。目標言語との接触時間は長ければ長いほど効果があるためである。この試みが子どもらの言語獲得上どのような影響を及ぼすのか、改善すべき点はあるのか、など、今後の推移を見守るところである。
- 2007-03-31
論文 | ランダム
- 電圧降下対策としてのバッテリ変電所の適用検討
- 価値多様化時代における教員免許更新講習について
- お持ち帰り資料はいかが?--全国に広がる・図書館の観光情報エクスチェンジ--楽しい〜費用なし
- 図問研のページ 「図書館利用に障害のある人へのサービス」交流のページ 静岡県立こども病院図書室訪問記--医療情報は、地域で生きる
- 小さな図書館の大きな図書館サービス--小さな図書館が図書館であるための選書哲学 (特集 この人に聞きたい--選書論)