反対咬合症例におけるフレンケル装置(FR III)の治療開始時期と治療効果についての検討 : とくに日本人群と欧米人群との比較
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概要
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1960年に機能的矯正装置としてフレンケル装置が紹介され,臨床歯科矯正の分野で用いられるようになった.今回,治療開始時期による治療効果の検討を目的として報告する.調査資料としてはFR IIII適応による日本人群,52症例を大阪歯科大学附属病院,歯科矯正科を訪れた患者から選別し,欧米人群,53症例をフレンケル教授の研究所での症例の中から本調査基準に適した対象症例を選別し,A,Bの2グループにわけた.Aグループ(Dental age IIA)では,乳歯咬合完成期で永久歯が咬合に関与していない時期の症例のみ,Bグループ(Dental age IIIA)では,咬合位が永久前歯と第一大臼歯によリ保持された症例を選別し,A,B両グループの移行型は選別症例から除いた.このため,今回の調査対象症例として両群からAグループ:17症例,Bグループ:11症例についての治療前後のセファロ分析を行い,顔面骨格系と歯槽系の両面についての比較を行った.また,A,B両グループの平均値的図形処理およびセファロ分析の平均値算出を行った.その結果,欧米大群と日本大群の術前術後の比較では両群ともに共通してAグループの方がBグループよリ治療効果が良好であリ,とくに上顎基底骨(A点)の改善度は欧米人群ではAグループ:3°,Bグループ:3°に対し日本人群ではAグループ:1.2°,Bグループ:0.4°であった.また,上下顎骨間の前後関係(ANB角)の改善度は欧米人群ではAグループ:2.3°,Bグループ:1.4°に対し日本人群ではAグループ:2.4°,Bグループ:1.9°であった.以上の調査結果から反対咬合症例での矯正治療を開始する時期は永久前歯萌出時期を待つよりも乳歯咬合完成期から開始する方がよリ良い治療結果を期待できることが認められた.
- 2007-06-25
著者
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