埼玉県尾須沢鍾乳洞上に発達した土壌の鉱物・地球化学的研究
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概要
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本研究では埼玉県の鍾乳洞石灰岩上に発達する土壌を採取し、鉱物組成および元素・Sr同位体組成分析を行い、土壌形成過程および土壌鉱物の起源について検討を行った。X線回折の結果から鍾乳洞上に発達する土壌層からは石英、長石、粘土鉱物が同定された。石灰岩試料で検出された方解石は土壌中では見られなかった。また土壌のSr同位体比は石灰岩のそれとはわずかながら違う値であった。これらの結果から、土壌下部の石灰岩とは起源が異なる母材から土壌が形成されたことが示唆される。深度50cm以浅の土壌上層のSr同位体比は石灰岩よりわずかに低く、低いSr同位体比を示す火山噴出物の寄与が考えられる。深度50cm以深の土壌下層は石灰岩に含まれない粘土鉱物や長石に由来するAl, Ti, Fe, K, Baが濃集しており、そのSr同位体比は土壌上層や石灰岩よりもわずかに高い。これらの結果から、風化および土壌生成過程において大気起源物質,例えば降水や大気降下物、の寄与が考えられる。
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