イソフルラン麻酔下の不可逆性出血性ショック犬における膠質蘇生前のバソプレッシンを用いた昇圧療法(内科学)

概要

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膠質蘇生前のバソプレッシン投与が血行動態および酸素供給機能の改善をもたらすという仮説を検証した.体重8-10.6kgの健康犬16頭を用いて実験的出血性ショックを作出し,平均動脈圧を30分間60mmHgに維持した.うち6頭には膠質蘇生前にバソプレッシンを投与し(V-C群),他の5頭にはバソプレッシンを膠質蘇生の最後に投与した(C-V群),また残りの5頭は対照としてショック後膠質蘇生無しにバソプレッシンO.4IU/kg投与した.出血の前後および膠質蘇生60分後に,すべての群で血行動態学的パラメーターを測定したところ,V-C群では,全身動脈圧(SAP)が60分間維持され,またC-V群および対照群に比較して肺毛細血管楔入圧(PCWP),心拍出量(CQ),酸素供給量および酸素消費量の改善がみられた.V-C群の拡張期動脈圧および体血管抵抗はc-V群および対照群に比較して有意に低かった(p<0.05).V-C群では治療後,SAP,C0,PCWPおよび酸素分配の効果的かつ急速な回復が認められた.これらのことが,膠質蘇生前のバソプレッシン投与は出血性ショックの犬における血行動態および酸素供給機能の改善に対しでより効果的な方法であることが示された.
社団法人日本獣医学会の論文
2007-05-25