新潟県越後平野南西部の河成段丘の編年と構造運動
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概要
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信濃川によって形成された中期更新世から完新世の河成段丘は越後平野南西部に分布する.この地域は日本でも構造運動の激しい地域である.段丘面の変位が大きい地域にもかかわらず,従来の段丘面の区分と対比は主に地形学的な視点から行われてきた.そのため,従来の段丘区分と対比の研究には様々な見解があった.本研究では段丘面上の信濃川ローム層中の広域テフラによる火山灰層序を基に,段丘面区分と対比を行った.その結果,更新世の信濃川段丘群を中期更新世の越路原I段丘,後期更新世前半の片貝段丘および越路原III段丘,後期更新世後半の潮音寺段丘と高梨段丘に区分できた.従来の段丘区分と大きく異なる点は,高度の違いにより異なる時代に形成されたとしてきた中位段丘と低位段丘が,後期更新世前半の片貝段丘の同一段丘なることである.片貝段丘面の垂直最大変位量は100mを超える.この段丘面が大きく変位した要因は,この面が隆起量の異なる2つのブロック(セグメント)の境界上に位置することによる.この境界部は隆起域の東頸城丘陵と沈降域の越後平野の境界部にあたり,ここでの段丘面は断層を伴った褶曲運動により大きく変形している.
- 2007-03-25
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